TM7006/7シリーズ フルHD 低遅延IP伝送システムの導入 

株式会社宮城テレビ放送 総務局技術推進部の日野尊澄様に、TMCの低遅延IP伝送システムの送り返し用途での導入から運用面についてのお話を伺いました。

株式会社宮城テレビ放送様

株式会社宮城テレビ放送様は、宮城県を放送対象地域とし、『ミヤテレ』の愛称で地域に親しまれているテレビジョン放送事業者様です。日本テレビ系列の東北ブロック基幹局として、東北6県ネットの番組制作や、各種幹事業務等も担当されています。

全国的にはミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメントでご存じの方も多いかと思います。

導入の背景

■ 日野様の職場とお仕事について教えてください 

日野様:総務局の下にあり、技術と名の付くものを一通りこなしている部です。役割は大きく分けて5つあり、①送信TV電波を皆様のもとに届けるための保守管理、②本社や送信所の電源管理、③TVマスターの保守管理、④システム、営業放送システムやイントラ社内ネット環境構築、⑤制作技術、必要な制作機材調達、中継技術の統括です。もともとは番組作りの制作技術の主担当でしたが4月から、送信・電源担当になっています。部長以下6名で、担当の得意不得意はありますが、チームワークを大事に、お互いに支え合って仕事をしています。

■ 本システム装置をどこでお知りになったか教えてください

日野様:2019年の東北映像機器展で、弊社関連プロダクションのスタッフとTMCの営業さんが知り合ったのが最初のきっかけです。そのスタッフが私に本システム装置を紹介して、TMCの営業さんは早速現物を私のもとに持ってきてデモしてくださいました。

 

■ その時にどのような課題を解決されようとしていましたか                株式会社宮城テレビ放送 日野尊澄様

日野様:当時使用していた低遅延送り返し装置は、ランニングコストが高くかつ出先で同時に受信できる端末が契約ライセンス上2台までと限定されており、中継が2つ3つと重なるときに運用に困ることがありました。また、映像に重畳する音声をN-1として利用しようとすると回線状況に関わらず音声がプチプチと途切れがちで、音声としては使用が難しい状況でした。

検討段階

■ 決定したポイントを教えてください

日野様:先ずライセンスがフローティングで価格がリーズナブルなことです。そして、機能としてインカムがついていたこと、その2つが選定理由です。

■ 選定中にデモは希望されました

日野様:はい、2019年の12月の中継で実運用をして評価しました。12月は仙台の定禅寺通りのイルミネーションイベントがあり、その中継に使いました。
道路の中央分離帯上のイルミネーションなのでケーブル付きのカメラは使えません。それでワイヤレスカメラを使うわけですが、ワイヤレスカメラはリターンを見ることができないのでそこにTMCさんの送り返し装置を使いました。現場で使ってみると手軽さと安定性、インカムの使いやすさに驚きました。

■ 導入までのスケジュールについて教えてください

日野様:
2019 年 12 月 検討3社のデモを実施 、次年度予算へ申請
2020 年 4 月上旬 メーカー内定
2020 年 4 月上旬 メーカー発注
2020 年 5 月中旬 製品納入、稼働開始

といったスケジュールですが、既存設備が 5 月一杯の契約だったため、発注から納入までが非常に短い期間でしたが、なんとかご対応頂きました。 コロナ禍ということもあり、機材のみを送って頂きリモート・サポートでの自力設営でしたが、 12 月にデモを行っていたこともあり、予定通りの日程 で問題なく設置とテストを完了できました。

導入後の状況

■ 導入されて期待効果はいかがでしたか

日野様:まずは、ライセンス数をリーズナブルに増やすことができ、複数中継時の課題を解決することができましたが、使ってみて新たに分かったこと、驚いたことが結構あります。
N-1というスタジオの音声を送り返しのプログラムに入れて送るのですが、この音が予想以上に良かったことです。この音質がすばらしくクリアに届きます。これまでは、中継時これを携帯電話で聞いていたりしていましたが、現場での音がクリアになりました。この音は現場のアナウンサーが聞くんですが、こんなに音が良いのかとびっくりしていました。聞こえすぎるぐ
らいですね(笑)。

さらに、何といっても一番いいのは、スタジオのN-1とインカム、これら2つの音をミックスして聞くことができることです。これまでは、別々のイヤホンで片耳でN-1を聞き、もう一つの耳でインカムを聞いていたんですが、今は一つのイヤホンで両方の音をミックスして聞くことができます。しかも普通混ぜてしまうと、どちらかが大きくてどちらかが小さいことがあり、それをスタジオ側から調整してもらわなければなりませんが、 iPadやiPhoneの端末からそれぞれの音量を自分の手元で調整できるところがとても便利です。

                                                      低遅延送り返し伝送装置の設置状況(上・下)

今回映像の送り返し装置として導入しましたが、現場ではN-1やインカムの高音質で使い勝手のいい音声機能もとても好評で、想定していなかった課題も解決することができました。

■ 活用されたイベントはございますか

日野様:ご覧になられた方も多いかと思いますが、 2020 年は中止となってしまったミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメントが今年は開催されました。この大会では、TMCさんの装置はワイヤレスカメラへの映像送り返しとして運用され活躍しました。次回以降は、ワイヤレスカメラマンとの連絡線としても活用を検討しています。

ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント風景

■ 本システムの購入をご検討中の方へアドバイスがございましたら教えてください

日野様:送り返し、端末がiOSということで、大きさが違うものも種々あり、使うときにどうしたいかを最初に考えておくとよいと思います。カメラのビューファインダーに付ける、腕に付けるなども合わせて検討しておくと良いと思います。運用に即したものを用意しておく。うちでは手元でマイクのON/OFFができるヘッドセットイヤホンマイクを買いました。TMCさんでも、こういった選択肢を持っているとさらに良いのではないかと思います。

TMCさんの製品はすごく丁寧に作られているという印象が有ります。スタッフの皆さんも営業っぽさと技術っぽさをうまく持っていて、全体像が見えていると思います。皆で全体を理解しながらバランスよくやっているように感じており、引き続きお世話になりたく思っています。

日野様 お忙しいところありがとうございました

製品のご紹介

TM7006/7シリーズ フルHD 低遅延IP伝送システム

株式会社宮城テレビ放送
創立    1970年1月17日
事業内容  放送法に基づくテレビ放送事業、各種イベントの企画・実施等
本社    〒983-8611 宮城県仙台市宮城野区日の出町1-5-33
営業局   〒980-8677 宮城県仙台市青葉区一番町4-6-1 仙台第一生命タワービルディング15F